
序章
任天堂Switch2の販売開始と同時に、メルカリでは高額転売の出品が相次ぎ、SNSを中心に出品者への批判が殺到している。いわゆる“炎上”状態だ。しかし、事態はそれだけにとどまらず、出品者を批判したユーザーに対しても、メルカリが利用制限をかけているという事例が複数報告されており、事態はますます混迷を深めている。
こうした状況に直面し、多くの人が「転売ヤーが悪い」と考えるのは自然だ。定価で手に入れられなかった一般消費者からすれば、高額での転売は憤りの対象となるのは当然だろう。しかし、少し視点を変えれば、このような場を提供し、野放しにしているメルカリというプラットフォームのあり方こそ、根本的な問題であるように思えてならない。
現在のメルカリには、Switch2のような高額かつ限定性のある商品の転売に対する有効な制限がない。出品禁止期間の設定や、価格の上限設定、販売履歴に基づく監視体制など、十分に対策を講じることは可能だったはずだ。例えば、販売から1年間はSwitch2の出品を禁止する、あるいはメーカー希望小売価格を大幅に上回る価格での出品をブロックするなどの制限措置は技術的に十分実現可能だ。
それにもかかわらず、こうした規制を設けず、“何でも売れる”という自由な環境をそのままにしているのは、メルカリ自身がこの混乱の中で最も利益を得ようとしているからではないかと疑わざるを得ない。販売手数料という形で、転売による高額取引からも収益を得ている以上、同社が積極的に対策を打たないのは経済合理性に従った行動だ。しかし、そこには明らかに「社会的責任」が欠けている。
さらに、出品者を批判するユーザーを一律に処分する姿勢にも、大きな疑問が残る。冷静な批判すら許容せず、規制をかけるという態度は、健全な議論や改善の機会すら奪うものであり、あまりにも独善的だ。ルールを破る者よりも、それを指摘する者に制裁を加えるようなプラットフォーム運営では、ユーザーからの信頼を失うのは時間の問題だろう。
転売問題を個人のモラルだけに委ねるのではなく、プラットフォーム運営企業としてどこまで責任を持つべきか。今こそ、メルカリは真剣にその社会的役割と向き合うべき時である。企業の利益だけを追い求め、ルールも倫理も軽視するような運営体制に、私たちは「情けなさ」以上の危機感を抱くべきだ。
メルカリに意見する
任天堂Switch2の発売に伴い、フリマアプリ「メルカリ」では早くも高額転売が横行しており、SNSなどでも大きな批判が巻き起こっています。こうした状況に対し、私も一消費者として強い疑問と憤りを覚え、メルカリに対して以下のように意見を送りました。


「今任天堂Switch2の転売が社会問題になってるが、何故メルカリは出品を認めるんですか?出品認めなければ転売なんて発生しないし、本当に欲しい人が手に入れられるはず。そこまでして儲けたいからですが?常識のある対応をお願いしたいと思います。このままでは諸悪の根源はメルカリにあるという結論になると思います。」
これに対するメルカリ側の回答は、以下のようなものでした。
「お問い合わせありがとうございます。
このたびは、メルカリのご利用に際しご不快な思いをおかけし申し訳ございません。
Nintendo Switch 2の出品に関しまして、転売行為自体は禁止しておりませんが、すべてのお客さまが安心・安全に取引を行っていただけるよう、以下のような取り組みを強化しております。
1.悪質な詐欺行為等、ガイドラインに抵触する可能性のある出品の削除
2.権利者の許諾なくWEBサイト等から商品画像を転載する出品(著作権侵害)の削除
3.高額商品の販売等における本人確認の実施
4.「Nintendo Switch 2」本体の出品における「オークション機能」の利用停止
上記に当てはまる出品につきましては、順次削除を行ってまいります。
また、高額取引時の本人確認必須化など、さらなる改善を進めることで、皆さまにより安心してご利用いただけるサービスを目指してまいります。
具体的な取り組み内容につきましては、以下のプレスリリースおよびお知らせでも詳しくご案内しておりますので、ご確認ください。
・プレスリリース https://about.mercari.com/press/news/articles/20250527_nintendo/
・お知らせ https://jp.mercari.com/notifications/news/2762676896415088640
今後とも、お客さまのご意見を真摯に受け止め、一層のサービス向上に努めてまいります。
引き続きメルカリをよろしくお願いいたします。
ーーーーーーーーーー
メルカリ事務局
ーーーーー」
一見、取り組みをしているようにも見えますが、これはいわゆる“テンプレート回答”そのものです。具体的な対策は示されていても、その姿勢からは「本気で転売問題に向き合う」という誠意や強い意志は感じられません。あくまでも「やっているふり」の印象が否めず、非常に残念でした。
こちらは真剣に問題提起をしているのに、返ってくるのは定型的で機械的な文章。まるで心がこもっていない。「不快な思いをさせて申し訳ない」という文言も、紋切り型の謝罪に過ぎず、実際には何も響いてこないのです。
本当に改善を望むなら、Switch2のような話題性の高い商品の発売から一定期間は出品を禁止する、もしくは任天堂と連携して正規流通ルート以外の出品は即時削除するなど、もっと踏み込んだ対応ができるはずです。それをしないのは、出品が続けば取引が生まれ、手数料で利益が出るという自社の収益構造を守りたいからに他なりません。
この姿勢を見ていると、もはやメルカリ自体が「転売を助長する温床」になっているという印象すらあります。ユーザーが問題視しても、会社として真に改善しようという姿勢がなければ、何も変わりません。
怒りを超えて、ただただ虚しく、悲しい気持ちになりました。メルカリにはもう少し社会的責任と常識を持った運営をしてもらいたいものです。
結局、得をしたのは
2025年の春、任天堂Switch2の発売を巡って、再び日本のフリマアプリ最大手「メルカリ」が炎上の渦中に立たされた。
話題の中心は、定価で購入したSwitch2を数万円単位で値上げして転売する、いわゆる「転売ヤー」たちの存在だ。そして、彼らの出品が大量に表示されるプラットフォームとして、当然のごとくメルカリにも非難の声が集中している。
■「子どもたちの楽しみを奪う」転売行為への批判
SNSでは、Switch2を手に入れられなかった子どもたちやその保護者たちが怒りや落胆の声を上げている。
「本当に欲しい人の手に渡らない」「子どもへの誕生日プレゼントが用意できなかった」「予約戦争に負けて、泣いた息子を見た」といった投稿が並び、それを煽るかのように高額出品を続ける転売アカウントたち。
中にはコメント欄で「欲しければ金を出せ」「それが市場原理」と挑発的な文言を残す転売ヤーもおり、ユーザーからの反感は日に日に強まっていた。
その怒りの矛先は、当然ながらプラットフォームである「メルカリ」へと向かっていく。
■販売停止しないメルカリの無責任体質
ユーザーからの通報が相次いでも、メルカリの対応は終始一貫していた。
「現在、転売行為自体は禁止しておりません。ただし、すべてのお客さまに安全かつ公平な取引を提供できるよう努めております。」
こうしたテンプレート的な返答を繰り返すのみで、高額出品の一括削除や、販売制限などの具体策は取られなかった。
このような対応は過去にも例がある。PlayStation5の時も、どうぶつの森同梱版Switchの時も、そしてマクドナルドのハッピーセットのおもちゃでさえ──メルカリは一貫して「転売行為を禁止していない」という立場を崩さなかった。
では、誰が得をしたのか?
答えは明白だ。メルカリである。
■結局儲かるのはメルカリだけ
現状、Switch2の転売価格は高騰がピークを過ぎ、徐々に値下がりしている。

現在の相場を見る限り、購入価格に対し手数料(販売価格の10%)と送料を差し引くと、転売ヤーの「儲け」は良くて数千円。中には送料負けしてマイナスになるケースさえある。
しかし、メルカリはどうか。
どれだけ商品価格が高かろうが安かろうが、販売が成立すれば必ず手数料10%を回収できる構造である。1台あたり数千円の儲けしか出ない転売ヤーよりも、数百台、数千台という取引を通して確実に利益を得ているのがメルカリなのだ。
炎上が起ころうが、批判が殺到しようが、実際には出品も購入も止まらない。つまり、「騒ぎ」はあっても「利益」にはほとんど影響がない、というわけだ。
■メルカリに求められる“倫理的対応”
そもそも、メルカリが販売開始から一定期間(たとえば1ヶ月)だけでも「Switch2」の出品を制限するという姿勢を示していれば、ここまでの炎上には至らなかっただろう。
もちろん、プラットフォームとしての中立性や「言論の自由」「販売の自由」といった理屈もある。だが、それでも社会的責任という観点で行動することは可能なはずだ。
商品が子ども向けであること、大量の転売により本来の購入者が不利益を受けていること、そして消費者庁など行政が動く可能性まで指摘されていることを考えれば、メルカリは「自社のルール」に閉じこもっている場合ではない。
■転売という「文化」が社会に与える悪影響
今回の件で浮き彫りになったのは、単なる転売の是非を超えて、「それを許容する文化」の弊害である。
利益を追求する企業が、その過程で社会から信頼を失っていく。この構図は、過去の企業スキャンダルや倫理問題とも通じる。メルカリも、まさにその一例として記憶される可能性がある。
短期的な利益に目を奪われるのか、それとも中長期的な信頼を選ぶのか──。メルカリの姿勢が今、試されている。
メルカリの本質を問う
今回の騒動はそれだけにとどまらない。ある意味では「構造的な問題」として、より深い問いを私たちに投げかけている。それは「なぜこのような状況が繰り返されるのか?」という問いである。
炎上の根源にあるメルカリの「黙認体質」
私たちは忘れてはならない。メルカリというプラットフォームが、何も制限せずにこの事態を傍観し続けているという事実を。2025年6月、筆者はメルカリに対して直接、Switch2の転売問題についての問い合わせを行った。返ってきたのは、一見丁寧だが、内容はどこかテンプレート化された、事なかれ主義に満ちた返信だった。
「メルカリでは、転売であることのみをもって商品を取り締まるのではなく、…安心・安全を第一に考えながら規制の可否を判断していく方針です。」
このように回答するメルカリだが、実態としては「身体生命に関わる緊急事態」の場合でない限り、転売の自由を基本的に黙認している。コロナ禍においては確かにマスクや消毒液の取引に規制をかけた過去があるものの、それはもはや過去の話だ。
Switch2は必需品ではない。だからこそ規制はかけない──そう主張したいのだろう。しかし、問題の本質はそこにはない。
「正規購入者でなければ無償修理を受けられない」という事実
今回のSwitch2転売に関して特に深刻なのは、購入者が「転売で買ったがゆえに任天堂の無償修理サービスを受けられない」可能性があるという点だ。任天堂は公式に、保証の対象は「正規販売ルートでの購入者に限る」としており、転売された製品に関しては対応外となる可能性が高い。
つまり、メルカリで高額でSwitch2を購入した人たちは、任天堂の公式サポートを受ける権利さえ失っているのだ。これは明らかに消費者にとって重大なリスクであり、事前に明示されるべき注意事項である。
にもかかわらず、メルカリはこの点について警告表示すらしていない。該当商品の購入ページにも、修理対応に関するリスク説明は一切ない。これは非常に不誠実な対応ではないだろうか。
メルカリがやるべき最低限のことは何か
メルカリは「マーケットプレイスの基本原則(https://about.mercari.com/principles/)」に基づいて、社会的責任を果たしていると主張している。しかし、ユーザーが明らかに不利益を被るような仕組みを放置しながら「安心・安全を第一に」と繰り返す姿勢には、甚だ疑問を感じざるを得ない。
やるべきことは明白だ。以下のような最低限の対応は今すぐにでも実行すべきである:
• 転売品であることが明らかな商品には「これは転売品です」と明示する
• 該当商品ページに「転売による購入品はメーカー保証が適用されない可能性があります」と注意喚起を行う
• 人気商品や新発売製品に関しては、出品制限を一時的に設ける
• 利益率が一定以上の出品者に対して監視強化・警告を実施する
これらの施策は、ユーザーにとってのリスクを減らすだけでなく、メルカリ自身の信頼回復にもつながるはずだ。
すべての責任を「個人ユーザー」に押しつける欺瞞
多くの批判者たちは「転売ヤーが悪い」「買う側にも問題がある」と語る。確かに一理ある。だが、それだけで議論を終わらせてよいのだろうか?
真に問うべきは、こうした行為を「助長する場」を提供している企業の姿勢だ。メルカリはその莫大な手数料収入の一部を、こうした高額転売から得ていることも忘れてはならない。
たとえば、定価4万円のSwitch2が7万円で売買されたとすれば、手数料10%でメルカリは7,000円を得ることになる。1台につきこの額である。転売が100台あれば、すでに70万円の利益だ。しかもこれはほぼ「放置しているだけ」で得られる利益である。
ここに「構造的な問題」があるのだ。表面上では「利用者の自由」や「安心・安全」と謳いながら、実態は「利益の最大化」を追い求めている。これは企業として誠実な姿勢とは言えない。
メルカリというプラットフォームの「社会的責任」
今やメルカリは、日本最大のCtoCマーケットプレイスであり、日常生活に深く根付いたインフラのひとつとすら言える。その影響力は計り知れない。だからこそ、「ただのプラットフォーム」であることを言い訳にしてはならない。
プラットフォームであるからこそ、情報提供の公平性・消費者保護の強化・市場の健全性を維持する責任がある。それを果たさない限り、いくら利用規約を改訂しようが、アドバイザリーボードを設置しようが、それは見せかけに過ぎない。
Switch2の転売問題は、単なる「転売の是非」を超えた、日本のCtoC市場全体に突きつけられた試金石である。私たちは、この状況を「またいつものこと」として見過ごしてはならない。問われているのは、「倫理なき利益追求」がまかり通る社会を、このまま許してよいのか、という本質的な問題なのだ。
最後に──未来の消費者を守るために
高額転売に泣くのはいつも一般の消費者だ。特にSwitch2のように、子どもたちの楽しみや夢に直結する商品が餌食になるとき、私たちは何を守るべきかを真剣に考えなければならない。
そしてそのために、まず問われるべきは「場を提供する者」の責任である。メルカリが本気で「信頼されるプラットフォーム」を目指すのであれば、目先の利益を超えて、健全なマーケットの構築に向けた行動を今こそとるべきだ。
それができないのであれば、メルカリは「諸悪の根源」として、今後も批判され続けることだろう。


任天堂Switch2を転売してる転売ヤー様達へ
任天堂Switch2の発売にあたり、早くもメルカリなどで高額転売が横行している。正直、多少の転売については見逃すこともできるかもしれない。ビジネスの一環として、需給の差をついた行為と擁護する声もある。しかし、限度を超えた高額転売は完全に“アウト”だ。特に、子どもたちの楽しみや夢を踏みにじるような行為は、断じて許されるべきではない。
Switch2は、ただのゲーム機ではない。子どもたちにとっては夢の詰まった宝箱であり、友達とのかけがえのない時間を生む存在だ。その可能性を金儲けの道具として搾取することに、何の良心の呵責もないのだろうか。中には、定価の2倍、3倍といった異常な価格で出品している者もいる。その陰で、涙をのむ子どもたちや、どうしても手が出せずに悔しがる親の姿があることを想像できないのだろうか。
そして最近では、マクドナルドのハッピーセットのおもちゃまでもが高額で転売される事態になっている。ここまでくると、もはや商売でも何でもない。子どもの“ささやかな喜び”すら金に変えようとするその姿勢に、強い嫌悪感を抱かずにはいられない。ハッピーセットは、ちょっとしたご褒美や親子の団らんの象徴だ。それすら金儲けの対象にするとは、良識も品位も感じられない。
恥を知れ。少しは自分のしていることが、誰かの笑顔を奪っているということに気づいてほしい。どうしても転売をするのであれば、子どもが手を出すような商品ではなく、高級腕時計やプレミアムスニーカーなど、大人を対象とした商品にしてくれ。金儲けを否定するつもりはない。だが、子どもの夢や楽しみを犠牲にした金に、どれほどの価値があるというのか。
あなたがやっているのは、ただの「転売」ではない。社会から笑顔を奪う「略奪」だ。もう一度、自分の行動を見つめ直してほしい。
私にも娘が2人いて、初めて初代Switchをサンタさんからもらった時の娘の笑顔と興奮した顔は忘れることが出来ない。だから敢えてこの記事を書かせてもらう。
コメント