
こんにちはチャチャ丸です。チャチャ丸は元銀行員です。今までたくさんの資産運用相談を行ってきました。ただしそれは自分のとってメリットのある結論に導くためのものでした。今回、中高年がやるべき資産運用の考え方や具体的なやり方について、ファイナンシャルプランナーであるチャチャ丸が魂を込めて完全ガイドを作成しました。自分でまず理解し、考えることが必要です。銀行員、証券マン、保険会社誰も信用できません。まず自分の考え方をしっかり持つことが大切です。あと、資産運用というとリスクだと感じている方へ。資産運用していないことが大きなリスクであるということを認識してください。大切なのはバランスよく資産を持つということです。まだはじめていない方は、この機会に是非勉強してはじめてください。
第1章:なぜ今、中高年に「お金の再設計」が必要なのか?
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「老後が不安で仕方ない。年金だけで暮らせるのだろうか……。」
「もう50歳を過ぎてから投資なんて遅いんじゃないか?」
そんな声を、私は何度も聞いてきました。
でも、安心してください。
むしろ今こそが、“人生後半の資産設計”を見直す一番のタイミングです。
この章では、なぜ中高年(50~70代)が今すぐ「お金の再設計」に着手すべきなのか、わかりやすく、そして現実的に解説します。
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1-1. 「老後2000万円問題」は、あながち誇張ではない
2019年に話題になった「老後資金2000万円不足問題」。
金融庁の報告書によれば、夫65歳・妻60歳の夫婦が年金だけで生活すると、毎月5.5万円が不足し、20年で約1320万円、30年なら1980万円の赤字が出るとされています。
当時は「不安をあおるな」と批判もありましたが、現実はもっと厳しいかもしれません。
• 年金支給は原則65歳。ただし、将来的には70歳支給も現実味を帯びている
• 退職金は減少傾向。昭和世代よりも1,000万円以上少ないのが当たり前
• 医療・介護・住宅修繕など、見えない支出が老後に集中する
つまり、老後に入ってから「なんとかなるだろう」では、たいてい“なんともならない”のです。
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1-2. 「貯金神話」だけでは老後を守れない時代に
かつての日本では、コツコツ貯金していれば、金利だけでお金が増えていく「貯金万能時代」がありました。
しかし、現在の定期預金金利は0.002%程度。100万円を1年間預けて、利息はたったの20円です。しかも、ここ数年は物価が上昇し続けており、スーパーに行くたびに「え?また値上がりしてる?」と感じる人も多いでしょう。
つまり、「貯金=安全」は幻想です。むしろ、“何もせずに貯めているだけ”という状態こそ、資産が少しずつ目減りしていくリスクにさらされているのです。
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1-3. インフレという「見えない敵」
特に厄介なのが「インフレ」です。
インフレとは、物価が持続的に上がっていくこと。おにぎりが100円から120円になったとしたら、同じ1万円でも買える量が減ります。つまり、お金の価値が目減りしているということです。
たとえば、毎年2%ずつ物価が上がったとしましょう。10年後、あなたの1,000万円は実質約820万円の価値に、20年後には約670万円の価値になります。
このように、インフレは預貯金を「見えない形」で削っていくのです。
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1-4. 50代・60代が抱えがちな「3つの誤算」
誤算1:「退職金があればなんとかなると思っていた」
かつては2,000万円以上の退職金が出る時代もありました。しかし、現在は1,000万円未満も珍しくありません。
さらに、住宅ローンの残債・子どもの学費・親の介護など、「退職後もお金が出ていく要因」が山ほどあるのです。
誤算2:「年金は生活費をまかなってくれると思っていた」
平均的な厚生年金は月15〜17万円。夫婦2人なら約22万円前後。
ですが、現実の生活費(家賃・医療・光熱費・交際費など)は月25万円~30万円が相場です。
つまり、**年金だけでは“普通に生活することすら難しい”**のです。
誤算3:「投資は若者がやるもの、自分には関係ない」
確かに、20代・30代と比べて、50代以降は運用できる「時間」が限られています。でも逆に言えば、「今からの10~20年」がラストチャンス。
しかも、資産運用は「増やすため」ではなく「減らさないため」に行う時代です。
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1-5. 投資は「富裕層」だけの話ではない
多くの人が、投資というと「お金に余裕のある人がやるもの」と思っています。
でも、実は逆。
本当に必要なのは「お金に不安を感じている人」こそなのです。
たとえば、つみたてNISAで月1万円ずつ20年間積み立てると、利回り3〜5%で約330〜400万円になります。複利の力で、時間とともにお金が働いてくれるのです。
さらに、税制優遇制度(NISA、iDeCoなど)を使えば、「節税+資産形成」というダブルの恩恵も受けられます。
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1-6. 今こそ「お金の再設計」が必要な理由
まとめると──
✅ インフレによって、預金の価値がどんどん下がっていく
✅ 年金や退職金だけでは、安心して暮らせるとは限らない
✅ でも投資や制度を活用すれば、まだ“間に合う”
中高年の資産形成において最も重要なのは、「守りながら育てる」「不安を数字に置き換えて、戦略を立てる」こと。
今からでも、遅すぎることはありません。
第2章:資産運用の基本をゼロから理解する
~「投資って怖い」から「これならできる」へ~
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「投資って、やっぱり怖い……」
「ニュースで“株価が大暴落”って聞くと、とても手が出せない」
「定年も近いし、今さら投資なんて遅いんじゃ?」
そんな気持ち、よくわかります。でも大丈夫です。
この章では、「投資=ギャンブル」ではないこと、そして50代・60代の私たちでも、今から十分に間に合う資産運用のやり方を、ゼロからわかりやすく説明していきます。
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2-1. 「投資」と「投機」は全くの別物
まず最初に、知っておいていただきたいのがこの区別です。
用語 内容
投資 長期的に資産を育てる行為
投機 短期的な価格差で儲けること
多くの人が「投資って危ないんでしょ」と誤解しているのは、実は「投機(ギャンブル的な取引)」の話です。
中高年にとって必要なのは、**コツコツと資産を守り育てる“投資”**のほうです。
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2-2. 投資の3つの黄金原則
では、実際に資産運用を始める前に、絶対に守るべき3つの基本をお伝えします。
① 長期運用が基本
相場は上がったり下がったりを繰り返します。
しかし、過去の実績を見ても、10年・20年と保有することで、ほとんどの投資商品はプラスになっています。
たとえば、アメリカの代表的株価指数「S&P500」は、過去30年で年平均約7~9%のリターンを記録しています。
▶ 重要なのは、「時間を味方につける」こと。
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② 分散投資が鉄則
「卵は一つのカゴに盛るな」という投資の格言があります。
これは、「特定の資産に集中せず、複数に分けて持とう」という意味です。
たとえば──
• 株式と債券に分ける
• 国内と海外に分ける
• 通貨を円とドルに分ける
こうすることで、ある資産が下がっても、他の資産がそれをカバーしてくれるのです。
▶ 重要なのは、「一発勝負」を避けて、リスクを広げること。
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③ 手数料(コスト)を制する者が運用を制す
投資で見落としがちなのが「コスト(手数料)」です。
例えば、年間信託報酬が1.5%の商品と、0.2%の商品を20年保有した場合、最終的な資産額に数十万円~100万円以上の差が出ることもあります。
▶ 重要なのは、「商品を選ぶときに“手数料”を必ず確認する」こと。
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2-3. 中高年におすすめの運用スタイルとは?
「じゃあ、何をどう買えばいいのか?」という疑問が出てきますよね。
中高年におすすめなのは、次のような“堅実型スタイル”です。
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◎ インデックス投資(つみたてNISA向け)
▼特徴
• 「日経平均」や「S&P500」など、市場全体の平均に連動する投資信託
• プロが銘柄を選ばなくても“世界全体に投資できる”
• 年間40万円までの非課税制度(つみたてNISA)で運用可能
▼おすすめ商品
• eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
• SBI・V・全世界株式(オールカントリー)
• 楽天・全米株式インデックス・ファンド
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◎ 債券型ファンド or バランスファンド
▼特徴
• 安定志向の中高年には「株だけ」よりも、債券やバランスファンドを組み合わせた運用が向いています。
• 株式に比べて価格変動が少なく、心穏やかに運用できる。
▼おすすめ商品
• eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
• 楽天・インデックス・バランス(株式重視型)
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◎ 高配当株やETF(投資信託より一歩上級者向け)
▼特徴
• 定期的に「配当金」が入ってくるので、生活の足しになる
• 特に年金生活に近づく世代にとっては“第2の年金”のような存在に
▼代表例
• 日本株:高配当ETF(1478など)
• 米国株:SPYD/HDV/VYM
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2-4. 積立 vs 一括投資、退職金はどうする?
▼ 積立投資(ドルコスト平均法)
• 月1万円ずつなど、毎月同額を積み立てていく方法
• 高値のときは少なく、安値のときは多く買える「自動的な価格調整機能」
▶ 退職前の方や、投資初心者にはこの方法が非常に有効。
▼ 一括投資
• 退職金など大きな資金を一気に投資すること
• タイミング次第で大きな損失を出すリスクもある
▶ 一括の場合でも、「分割して複数回に分けて買う」ことでリスクを抑えられます。
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2-5. 「制度」を味方につければ、成果は何倍にもなる
▼ iDeCo(個人型確定拠出年金)
• 掛金は全額所得控除→節税に直結
• 運用益も非課税
• 60歳まで引き出せない=老後資金を確実にキープ
▶ 特に自営業者やフリーランスには強くおすすめ。
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▼ 新NISA(2024年〜制度刷新)
• 「つみたて枠」と「成長投資枠」を併用可能
• 非課税期間が“無期限”になり、老後資産形成に最適な仕組みに
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2-6. 投資を始める前にやっておくべき準備
✅ 「生活防衛資金」を確保しておく(生活費6ヶ月〜1年分の現金)
✅ 借金やクレジット残高はなるべく整理
✅ 家族と資産運用の方針を共有しておく(安心感が増す)
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まとめ|「難しいからやらない」が一番のリスク
投資は難しそう、失敗しそう……その気持ちはよくわかります。
でも、**だからこそ少額からスタートして、学びながら進めることが一番の“資産防衛”**になります。
そして忘れないでください。
• 投資は「生活を豊かにする手段」であり
• 「特別な人のためのもの」ではなく
• 「老後を守りたいすべての人のためのもの」だということを。
第3章:年金制度のしくみと自分の受給額を知る
~「あいまいな不安」を「数字の見える安心」へ~
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「年金って、いくらもらえるのか正直わからない……」
多くの中高年が、年金について漠然とした不安を抱えています。
「年金だけで生活できるのか」
「いつからもらえば得なのか」
「そもそも自分はいくらもらえるのか」
──どれも大切な疑問ですが、実は**“見える化”できる仕組み**がすでにあるんです。
この章では、年金の基本構造から、具体的な受給額の確認方法、受け取り方の選択肢まで、わかりやすく解説していきます。
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3-1. 日本の年金制度は「2階建て構造」
まず、日本の年金制度をシンプルに説明すると、次のような「2階建て構造」になっています。
■ 1階:国民年金(基礎年金)
• 20歳以上のすべての国民が加入
• 自営業、フリーランス、専業主婦なども対象
• 2025年度時点の満額:年間約79万円(月約6.6万円)
👉 加入期間が40年に満たない場合は減額されます。
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■ 2階:厚生年金
• 会社員、公務員など、給与所得者が加入
• 給料と勤務年数に応じて支給額が決まる
• 平均的な厚生年金受給額:月15万~17万円前後
👉 配偶者と合算すると、夫婦で月22万~23万円が一般的です。
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3-2. 自分の年金額は「ねんきんネット」で簡単にわかる
「じゃあ、私はいくらもらえるの?」──これ、誰もが気になりますよね。
その答えを教えてくれるのが、日本年金機構が運営する【ねんきんネット】というオンラインサービスです。
▼ 登録・確認の流れ
1. 日本年金機構から届く「基礎年金番号」を準備
2. 「ねんきんネット」でアカウント登録(無料)
3. マイページにログインし、「将来の年金見込み額」を確認
▶ 50歳以上なら、将来の年金額がほぼ正確にわかります。
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3-3. 年金だけでは「足りない」ことが明らかになる
一般的に、夫婦2人の老後生活費は月22万円~28万円が必要と言われています。
では、年金収入だけで足りるでしょうか?
たとえば──
• 夫:厚生年金 月15万円
• 妻:国民年金 月6.6万円
• 合計:21.6万円/月
生活費25万円なら、毎月3.4万円の赤字。
1年間で40万円以上、10年で約400万円の持ち出しになります。
だからこそ、「年金以外の収入源」や「資産の取り崩し計画」が必要になるのです。
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3-4. 年金は「いつから受け取るか」で金額が変わる
実は、年金は「65歳」からもらうのが基本ですが、「早くもらう」「遅くもらう」こともできます。
■ 繰上げ受給(60歳〜)
• 最短60歳から受け取れる
• 1か月繰り上げるごとに0.4%減額
• 60歳で受け取ると、最大24%の減額
■ 繰下げ受給(66歳〜75歳)
• 最長75歳まで繰り下げ可能
• 1か月繰り下げるごとに0.7%増額
• 75歳で受け取ると、最大84%の増額
▼ たとえば:
• 本来65歳から月15万円もらえる人が、70歳まで繰り下げると
→ 月21.3万円に(+42%)
▶ 長く生きる自信がある方、貯蓄に余裕がある方には「繰下げ」がお得です。
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3-5. iDeCo(イデコ)で老後資金と節税の“二兎”を取る
「年金が足りないなら、自分でつくるしかない」
そんな時に頼れるのが、【iDeCo(個人型確定拠出年金)】です。
■ iDeCoとは?
• 自分で掛金を積み立てて、自分で運用する年金制度
• 掛金全額が「所得控除」の対象→節税できる!
• 運用益も非課税
• 原則60歳まで引き出せない=老後資金にロックされる
■ 掛金の上限(月額)
職業 掛金上限
自営業 6.8万円
会社員 2.3万円(企業年金なしの場合)
公務員・主婦 1.2万円
■ iDeCoのメリットまとめ
• 掛金が全額所得控除 → 年間数万円~十数万円の節税に
• 長期投資で運用益が育つ(複利の効果)
• 60歳以降、年金形式or一時金として受け取り可能
▶ 50代からでも10年運用すれば、老後資金に大きな差がつきます。
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3-6. 年金受給の「設計」は老後の安心そのもの
年金は“人生最後の収入源”とも言えます。
だからこそ──
✅ 自分がいくらもらえるかを「見える化」する
✅ いつから、どうやって受け取るかを「設計」する
✅ 不足分は「投資・運用」で補う戦略を立てる
これが、老後の安心を数字で手に入れる第一歩です。
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まとめ|“不安”の正体は「情報不足」
多くの人が、「年金はあてにならない」と言います。
でも本当は、「制度を知らない」「計算していない」から不安なだけかもしれません。
一度、自分の年金額をしっかり確認し、繰上げ・繰下げ、iDeCoなどを組み合わせて、**自分だけの“年金設計図”**を作ってみてください。
第4章:ポートフォリオ設計と実践モデル
~資産を「守りながら育てる」ための最適な配分とは?~
「資産運用、結局どこにどれくらいお金を置けばいいのか分からない…」
そんな悩みを持つ方はとても多いです。
たとえば、全額を株に投資して大きく減らしてしまったり、逆に全部を現金のまま寝かせて価値を下げてしまったり…。
だからこそ重要なのが、**ポートフォリオ設計(資産配分)**です。
この章では、中高年が安心して運用できる資産構成の考え方から、年齢別の目安、さらに3つの実践モデルケースまで、具体的かつ現実的に解説します。
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4-1. 資産運用の成否の8割は「配分」で決まる
「どの商品を選ぶか」よりも、「どんな割合で資産を配分するか」が、実は成果に大きく影響します。
たとえば──
• Aさん:信託報酬0.2%の全世界株インデックスに50%、債券30%、現金20%
• Bさん:流行りのテーマ型ファンドに80%、現金20%
この2人、5年後・10年後に残る資産は天と地の差になるかもしれません。
▶ ポイント:**「配分=リスクと安定のバランス」**であることを意識しましょう。
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4-2. 中高年における資産区分の基本
■ 代表的な資産クラス
資産クラス
特徴 期待利回り リスク
株式 高い成長性 4~7% 高
債券 安定的な利息収入1~2% 低~中
REIT 分配金が魅力 3~5% 中~高
金 実物資産、インフレ耐性 ほぼゼロ 中
現金 安心感は最強 0% なし
4-3. 年齢別おすすめアセットアロケーション
年齢が上がるにつれて、資産の“守り”の割合を増やしていくのが基本です。
年齢層 株式 債券 現金 その他(REIT・金)
50代 60% 25% 10% 5%
60代 40% 40% 15% 5%
70代 25% 45% 25% 5%
▶ ポイント:
• 「すぐに使うお金」は現金へ
• 「数年先に使うお金」は債券や定期預金へ
• 「10年以上先に使うお金」は株式などで育てる
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4-4. 実践モデルケース①|55歳・会社員・Aさんの場合
プロフィール:
• 年収700万円・金融資産:1,500万円(うち現金1,000万円)
• 退職まであと5年
• 住宅ローンあり、子どもは大学生
目標:
• 60歳で退職後、65歳から年金受給までの生活費を自力で賄う
• 退職金はおそらく1,000万円以上見込める
おすすめポートフォリオ:
• 株式(全世界インデックス):50%
• 債券(国内+海外):30%
• 現金・定期:15%
• ゴールド:5%
▶ コメント:
給与がまだあり、今が“攻めの最後のチャンス”。積立NISAを満額活用し、退職金は60歳からの生活費として一部確保。残りはつみたてとリスク分散運用へ。
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4-5. 実践モデルケース②|60歳・自営業・Bさんの場合
プロフィール:
• 年収300万円程度・金融資産:1,000万円
• iDeCoに加入中・公的年金は少ない見込み
• 住宅ローンなし、配偶者あり
目標:
• 年金受給までの数年間を資産運用で補いたい
• 年間100万円程度を取り崩す前提
おすすめポートフォリオ:
• 株式(つみたてNISAで米国・全世界):30%
• 債券(短期・変動型):40%
• 現金:20%
• REIT・金:10%
▶ コメント:
iDeCoでの節税+非課税運用をフル活用。現金の割合を高めに持ち、生活費の3年分は確保。急変動に耐えられる柔軟な構成が理想。
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4-6. 実践モデルケース③|65歳・年金生活・Cさんの場合
プロフィール:
• 年金月22万円・生活費月20万円
• 金融資産3,000万円(うち1,500万円は定期)
• 健康状態は良好、趣味は旅行と家庭菜園
目標:
• 安定的な生活維持+余剰資金で少し資産も育てたい
• 子や孫に相続・生前贈与も考慮中
おすすめポートフォリオ:
• 株式(高配当株・ETF中心):30%
• 債券(社債・個人向け国債):40%
• 現金:20%
• REIT・金:10%
▶ コメント:
年金で生活が完結しているので、「使わない資産」でリスクをとる余地あり。配当金や分配金を旅行資金に回す“楽しい資産活用”が理想。
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4-7. リバランスと出口戦略を忘れずに
ポートフォリオは一度作ったら終わりではありません。定期的に見直しが必要です。
■ リバランス(再配分)のすすめ
• 年に1回、理想の比率に戻す
• 利益が出て偏った資産を売り、少ない方を買い足す
▶ これにより、自然と「高くなったものを売って、安くなったものを買う」という理想的な投資行動ができます。
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まとめ|資産運用に「正解」はない。でも「最適解」はある
「自分にとってベストな配分はどれだろう?」と考えることが、老後を守る第一歩です。
• 50代:収入を活かして“守りながら育てる”時期
• 60代:必要な現金を確保しつつ“安定運用”へ移行
• 70代:取り崩しを意識した“維持と継承”フェーズへ
次章では、インフレや金利上昇、為替の変動といった「外部環境の変化」に備える方法を詳しく解説していきます。
第5章:インフレと長寿社会にどう備えるか?
~「お金の価値が下がる時代」に、あなたの資産を守る方法~
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「お金を貯めているのに、なぜか不安が増える……」
このような不安を感じる方は非常に多いです。
理由の一つは、**インフレ(物価上昇)**です。
もう一つは、長寿化によって老後が想像以上に長くなるという現実です。
この章では、目に見えづらい「インフレ」という敵にどう立ち向かうか、そして、長生き時代に安心して資産を持ち続けるにはどうすればいいのか、具体策をお届けします。
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5-1. インフレとは「お金の価値が下がること」
■ 例えば、こんな変化
• 昔:牛乳1リットル=100円
• 今:牛乳1リットル=180円
これは牛乳が高くなったのではなく、お金の「買う力」が下がったということ。
■ インフレが進むとどうなる?
• 預金の利息がほぼゼロ → お金が育たない
• 生活費・医療費・日用品が年々高くなる
• 公的年金は物価の上昇に完全には対応できない
▶ 結論:「現金で持ち続けるだけでは、実質的に“損”をしている」
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5-2. 長寿化リスク=「お金の寿命が先に尽きる」
日本は世界有数の長寿国。平均寿命は以下の通りです。
• 男性:約81歳
• 女性:約87歳
しかし、実際には90歳、95歳まで生きる人が珍しくない時代です。
たとえば──
• 65歳で定年退職し、90歳まで生きるとしたら、25年間も無収入で生活する必要がある。
• 毎月20万円必要なら、25年で6,000万円の生活費が必要。
▶ 「老後=数年の余生」ではなく、**「第2の人生」**と考えるべきです。
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5-3. インフレに強い資産とは?
◎ 株式(特にインデックスファンド)
• 企業は物価が上がれば商品価格を上げる → 利益も増える → 株価上昇
• 適度なリスクを取りながら資産を増やせる
▶ つみたてNISAやiDeCoで投資すれば、税制面でもお得
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◎ REIT(不動産投資信託)
• 地価・賃料がインフレで上昇 → 分配金が増加する可能性あり
• 少額(数万円)から投資できる
▶ 商業施設、物流、マンションなど分散されているREITが安心
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◎ 金(ゴールド)
• 世界的に「インフレに強い資産」として人気
• 政治不安や通貨価値の下落時にも買われやすい
• 利息は出ないが“価値の保存”として有効
▶ 純金積立や金ETFなどが初心者にも取り組みやすい
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◎ 外貨資産(米ドル建てなど)
• 円安になると外貨の価値が上がり、インフレを和らげる
• 米国株式や米ドル建て債券などを活用
▶ 為替変動のリスクもあるが、資産の分散には非常に有効
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5-4. インフレに弱い資産とは?
△ 日本円の現金
• 利息ほぼゼロ、物価が上がると実質目減り
• 安心感はあるが、長期保有には注意
△ 固定金利の債券
• インフレが進んでも利息は変わらない
• 実質リターンがマイナスになることも
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5-5. 外貨資産の取り入れ方|初心者向け3ステップ
STEP1:為替リスクを理解する
• 1ドル=100円 → 1ドル=120円 になれば、ドル資産の価値は20%増
• 逆に円高になると資産が目減りする
▶ 長期保有が前提なら、為替変動も吸収できる範囲に
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STEP2:米国株インデックス投資から始める
• eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
• SBI・Vシリーズ 全米株式など
▶ 外貨建て資産を自然に組み込める、初心者向け商品
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STEP3:外貨預金・ドル建て保険は慎重に
• 外貨預金は手数料が高く、円安でないとメリットが出にくい
• ドル建て保険は解約リスクや為替変動が複雑
▶ よくわからない商品は“買わない勇気”が大切
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5-6. 実生活でもできる「インフレ対策」
✅ 長期保存できる日用品・食品を少しずつストック
→ トイレットペーパー、缶詰、洗剤などはインフレの影響を受けやすい
✅ 電気代・ガス代の節約・見直し
→ 契約プラン変更や、省エネ家電への買い替えでコストダウン
✅ 「健康維持」は最大のコスト削減
→ 食生活、運動習慣、定期検診で将来の医療費を抑える
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まとめ|「守る」ためには「動く」ことが必要
インフレや長寿化は避けられない現実です。
でも、それを理由に何もしなければ、確実に資産は目減りしていきます。
• 株式・REIT・金・外貨などに分散して持つ
• インフレに弱い資産(現金・預金)に偏りすぎない
• 日常生活レベルでも「備える意識」を持つ
これらはすべて、今からでも実践できることばかりです。
第6章:出口戦略と取り崩し術
~お金を「減らさず」「安心して」使うために~
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「貯めることばかり考えていたけれど、使い方がわからない……」
この悩み、実は多くの中高年が直面しています。
長年かけて築いた資産を「いつ・どれだけ・どこから」取り崩せばいいのか?
「減らしてはいけない」という意識が強すぎて、かえって何も使えないまま人生が終わる──そんな事態を避けるには「出口戦略」が欠かせません。
この章では、「お金の使い方をどう設計するか」という観点で、現実的かつ持続可能な取り崩し方を詳しく解説していきます。
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6-1. 出口戦略=「資産を取り崩す設計図」
「出口戦略」とは、資産運用のゴール設計のことです。
• 何歳までに、いくら残すのか
• 年間どれくらい取り崩すのか
• どの順番で使っていくか
これを「戦略的」に考えることで、長く安心して資産を活かすことができます。
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6-2. 資産取り崩しの3原則
【原則1】「取り崩し率は年3〜4%」を目安に
米国の研究(トリニティスタディ)では、年率4%の取り崩しなら、30年以上資産が枯渇しないとされています。
例:2,000万円の資産 → 年間80万円(月6.6万円)取り崩し可能
【原則2】「現金 → 債券 → 株式」の順で使う
• まず生活費は現金(預金・定期など)から
• 次に債券や個人向け国債を売却
• 最後に株式・投資信託などのリスク資産
👉 こうすることで、価格変動のリスクを抑えつつ、必要な資金を確保できます。
【原則3】「想定寿命+10年」で設計する
• 平均寿命ではなく、「自分の健康状態+10年」で計算
• 85歳想定なら、95歳まで持つプランに
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6-3. 退職金・年金・資産をどう組み合わせるか?
中高年の収入源は、おおよそ次の3つに分かれます。
1. 公的年金(国民年金・厚生年金)
2. 退職金・企業年金・確定拠出年金(iDeCo等)
3. 自由に使える金融資産(預金・投資信託・株式など)
これらをうまく組み合わせることが、安全かつ効率的な取り崩しの鍵です。
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6-4. モデルケース①|65歳・夫婦二人・年金+資産運用
• 年金:夫18万円+妻6.5万円=月24.5万円
• 生活費:月22万円(やや余裕)
• 金融資産:退職金含め2,500万円
戦略:
• 年金で生活がまかなえるため、資産はほぼ“育てながら使う”方向
• 年に1回、旅行や家電買替えに30万円前後取り崩し
• 株式・投信はそのままにして、債券・現金を優先的に使う
メリット:
必要以上に資産を減らさず、「楽しみ」にも資産を使える理想的な設計。
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6-5. モデルケース②|60歳・単身女性
1,200万円・年金少なめ
• 年金:65歳から月11万円の見込み
• 金融資産:預金500万+つみたてNISA・iDeCo等で700万円
戦略:
• 60〜65歳までは、年間100万円ずつ取り崩し
• 65歳からは年金で最低限の生活、年10〜20万円を投資信託から補う
• 年齢に応じて、リスク資産を徐々に現金化
ポイント:
「収入がない5年間」をどう乗り切るかがカギ。資産全体の20%はいつでも取り崩せるよう現金化しておく。
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6-6. 「取り崩す不安」に打ち勝つ3つの考え方
① 「使わないと損」ではなく、「使わないと残念」
せっかく築いた資産を、老後に使わず終わってしまうのはもったいない。
「お金は使うためにある」という価値観を再確認。
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② 「自分のための人生設計」を優先する
• 相続や贈与を考える前に、「自分が快適に暮らすこと」が最優先
• お金で買える「健康」「学び」「体験」に投資する
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③ 「定期的な見直し」をルーティン化する
• 半年~1年に1度、資産状況・取り崩し額を確認
• 年金額・支出の変化に応じて柔軟に調整
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6-7. 取り崩しに便利な仕組み3選
◎ 定期売却サービス(証券会社)
• 毎月指定額を自動で売却して現金化してくれる仕組み
• 投資信託で利用可能なケースが多い
▶「自分年金」のように使える。ストレスの少ない資金化方法。
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◎ 自動引き出しサービス(ネット銀行)
• 毎月10日など、決まった日に資産口座から引き落として生活口座に移す
• 取り崩し管理をルール化できる
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◎ つみたてNISA・iDeCoの受取設計
• iDeCoは「年金方式」or「一時金方式」で受け取り方を選べる
• 税金面の違いも含めて、60歳以降に戦略を立てるべき
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まとめ|「貯め方」と「使い方」はワンセット
中高年の資産形成で忘れがちなのが、「出口の設計」です。
• 資産を長く持たせるには、毎年3〜4%を目安に取り崩す
• 使い道は「自分の幸せ」から考える
• 順序よく、計画的に、柔軟に使っていく
人生100年時代。“生きる力”としてのお金を、自分らしく活かす取り崩し術を身につけましょう。
第7章:実践編まとめとQ&A
~「結局どうすればいい?」を一気に整理~
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「ここまで読んできたけれど、要するに何をすればいいの?」
そんな疑問に応えるために、この最終章では本書全体の要点をまとめつつ、読者からよく寄せられる質問にもお答えします。
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7-1. これだけは押さえておきたい5つの基本原則
① お金は「貯める」「増やす」「守る」「使う」「継ぐ」の5段階
どれかに偏るのではなく、バランスよく設計することが重要です。
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② 投資は「商品選び」より「配分」が8割
• 株式・債券・現金・不動産・金
• 年齢や目的に応じて分散するのが最大のリスク回避
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③ 中高年に最も必要なのは「出口戦略」
• 資産は“ためっぱなし”ではダメ
• どう取り崩すか、どの順で使うかの設計が老後を左右する
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④ インフレは「静かな敵」
• 現金は安全そうでいて、実はどんどん価値を失っている
• 株式・REIT・金などへの分散で「買う力」を守る
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⑤ 公的年金だけに頼らない設計を
• 年金は老後のベースラインに過ぎない
• iDeCo・つみたてNISAなどを活用し、自分年金を育てる
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7-2. よくあるQ&A集|「私の場合はどうすれば?」
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Q1. 「もう60歳ですが、今からでも投資して大丈夫ですか?」
A. はい、むしろ“今から”が本番です。
60歳は投資を「終える」年齢ではなく、「守りながら育てる」投資へとシフトするタイミングです。
• 債券中心で安定運用
• 株式はインデックス投資でリスク分散
• 最低3年分の生活費は現金で確保してから運用開始
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Q2. 「資産が少なくても、運用する意味はありますか?」
A. もちろん意味があります。
• 仮に500万円でも、月2万円のつみたてで10年後に倍以上になる可能性も
• インフレ対策として“価値を守る”という観点でも大きな意味があります
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Q3. 「iDeCoとつみたてNISA、どっちを優先すべき?」
A. 結論:どちらも活用が理想。ただし順番は以下の通り。
1. つみたてNISA:途中引き出しOK、非課税枠を使いやすい
2. iDeCo:60歳まで引き出せないが、節税効果が大きい
▶ 余裕がない人は、まず「つみたてNISA」から始めてください。
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Q4. 「どの投資信託を選べばいいか分かりません」
A. 最初の1本は、これで十分です。
• eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
• SBI・Vシリーズ 米国株式(S&P500)
• 楽天・オールカントリーなど
▶ いずれも「分散」「低コスト」「長期向き」の3拍子がそろっています。
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Q5. 「資産を減らしたくないけど、どうしても不安で使えません」
A. 「使ってこそ資産」。“残す”より“活かす”が大事です。
• 旅行や趣味、家族との時間に資産を使うことが人生の満足度を上げます
• 年3〜4%ずつ取り崩す方法なら、30年近く資産はもちます
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7-3. 老後の資産設計「10のチェックリスト」
✅ 生活費は年金で足りますか?
✅ 退職金・iDeCoの受け取り方は決めていますか?
✅ 生活費3年分の現金は確保済みですか?
✅ 株・債券・現金・その他で資産配分していますか?
✅ 投資信託は長期・分散型にしていますか?
✅ 年1回は資産の棚卸しをしていますか?
✅ 医療・介護リスクに備えた保険を見直しましたか?
✅ お金を使う「楽しみ」を設計できていますか?
✅ 子や孫への贈与・相続は考えていますか?
✅ 自分らしい“終活”に向けたお金の使い道はありますか?
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7-4. あなたらしい「お金の使い方」が、最強の投資になる
資産運用とは、単に“増やす”だけのものではありません。
あなたの人生を豊かにし、「思い通りに生きる力」を与えるのが、お金の本当の役割です。
• 子や孫に何を残したいか
• 自分の人生で何をやりたいか
• 不安を消すために、どれだけの備えがあれば安心か
これらを考えることこそが、**中高年にふさわしい“ライフマネジメント”**です。
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最後に|「投資は怖い」は過去の話。「備えるためにやる」がこれからの常識
• 投資はギャンブルではありません。
• 年金だけでは足りないことが確実な時代、運用は「選択」ではなく「必要」。
この投稿が、あなたの「未来の安心」の第一歩になれば幸いです。
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